焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
思い描いていると、再び鳴った着信音。

「なんだろう、愛かな?」

なにか伝え忘れたことでもあったのかもしれない。そんなことを思いながら画面を見ると、相手は愛ではなく織田くんだった。

「嘘、織田くん!?」

びっくりし過ぎてスマホを床に落としてしまい、慌てて拾い上げた。

どうして織田くんから!? それよりも、帰ってきたの? と、とにかく電話に出ないと。

心臓を落ち着かせるように大きく深呼吸をして、通話ボタンをタップした。

「も、もしもし織田くん……?」

少しだけ震える声で問うと、久しぶりに聞く声が耳に届いた。

『久しぶり滝本。……今、電話大丈夫?』

「うん、大丈夫だよ」

うわぁー……織田くんだ。二ヵ月ぶり以上に声を聞けて、胸がざわつく。

『変わりない? 最近、肌寒くなってきたけど風邪とか引いていない?』

いつもメッセージで聞かれていることと同じことを聞かれ、笑みが零れる。

「うん、元気だったよ。織田くんは? あ、もう戻ってきたんだよね?」

『あぁ、今日戻ってきたんだ。明日からまたしばらく陸地勤務に入る』

「そうなんだ……」
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