焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「違います! 今日は高校の同窓会なんです」

「同窓会?」

意外だったようで彼は珍しく目を丸くさせた。

「はい。……あ、でも例の彼も来ますけど……」

ボソッと付け足すように言うと、門脇部長は唇の端を吊るし上げた。

「そうか、それじゃオシャレしてきて当然だな。……なんだ、安心したよ。会うってことはうまくいっているんだな」

「……はい。この間は色々とご相談に乗ってくださり、本当にありがとうございました」

素直に認め、この間のことのお礼を言うと彼はなぜか泣き真似をした。

「いやいや、例には及ばないよ。……仕事も恋愛も順調な最近のお前は、俺には眩しいわ」

「なんですか、それは」

涙なんて出ていないくせに、腕で拭く真似までしちゃって。だけど門脇部長らしい一面に笑ってしまった。

「楽しんでこいよ」

「はい」

最後に門脇部長はポンと私の肩を叩き、オフィスへと向かっていった。

「お疲れ様でした」

背中に向かって言うと、彼は手を挙げて「お疲れ」と返してくれた。

しばし彼の背中を見送った後、ハッと我に返り急いでエレベーターに乗って会社を後にした。
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