焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
クラス同窓会の会場は会社の最寄り駅から三駅先のフレンチレストラン。隠れ家的なお店で、今夜は貸し切り。

織田くんはやっぱり遅れてくるようで、昨夜電話で言われた。でもできるだけ早く向かうとも。

ドアの前に立つと、店内からは賑やかな声が聞こえてくる。愛の言っていた通り、十八時前にもかかわらず、けっこう来ている子が多いようだ。

みんなや織田くんに会えるのが楽しみだったけれど、もしかしたらドアの先には陸人がいるかもしれないんだよね。

そう思うと今さらながら緊張してくる。だけどこのまま陸人から逃げていたら、みんなといつまで経っても会えないまま。

陸人ひとりに会いたくない理由でみんなに会えないままなのは、やっぱり嫌だ。

「……よし!」

覚悟を決めてドアを開けると、カランカランと鈴の音が響く。すると既に来ていたメンバーが一斉にこちらを見た。

「あー! 杏だ!! 久しぶり~!」

「元気だったか? 滝本!」

すぐに懐かしい面々に出迎えられ、緊張が次第に解けていく。
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