焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「すみません、僕にも同じものをお願いします」

「かしこまりました」

すると声の主は私の隣に立った。

うわぁ、大きい……。

思わず凝視してしまう。

身長百五十八センチの私が見上げるほど。恐らく百八十センチはあるよね。黒の短髪に健康的に日焼けした肌。目鼻立ちがくっきりで、凛々しい表情。中世的な顔をしている。

気づくと少し離れた距離で、テレビ取材班が彼を撮っている。もしかして先ほど女性に囲まれていた人だろうか。

でも囲まれるのも納得。誰が見てもカッコいい人だもの。

ウーロン茶が入ったグラスを手にしたまま、ついまじまじと眺めていると私の視線に気づいた彼と目が合った。

吸い込まれてしまいそうな瞳に息を呑む。まるで時間が止まったかのような錯覚を覚える中、彼もまたジッと私を見つめてくる。

えっと……あれ? どうして見つめられているの? あ、私があまりにも見つめすぎたから気分を悪くさせちゃったとか?

でも表情は怒っているように見えないし……。

グルグルと考えが巡る中、彼は視線を逸らすことなく恐る恐る聞いてきた。
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