焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「杏との付き合いは長かっただろ? そばにいるのが当たり前になっていて、当時はなんていうかときめくことが少なくなってきたっていうか……」

言葉を濁す姿に、なんとなく彼の言いたいことがわかってしまう。つまり私に飽きていたってことだよね? だから浮気したんでしょ?

ワーッと言いたい気持ちをグッとこらえる。ここで感情的になったらダメと自分を鎮めて。

「その時、声を掛けられた子に気持ちが一気に傾いてしまい、杏に別れを切り出したんだ。でもすぐに後悔した。別れてはじめて、杏の大切さを知ったんだ。……その後、何人かと付き合ってきたけど杏ほど、一緒にいて楽しくて癒される相手はいなかった」

話を聞けば聞くほど、沸々と怒りが込み上がる。

私と別れた後も、何人かと付き合って私以上の相手がいなかっただなんて、そんなことを聞かされて私が喜ぶと思っているのだろうか。

「都合がいい話だとわかっている。それでも言わせてほしい。……俺、ずっと杏に会いたかったんだ。それでやっと今日再会することができた。今度は絶対浮気なんてしない、杏一筋になる。だから俺ともう一度やり直してくれないか?」
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