焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
どうしよう、怖い。力じゃ絶対に敵わないし、それになぜか声が出ない。周りに助けを呼べばいいのにそれができない。

頭の中はパニックになり、どうしたらいいのかわからなくなったその時。陸人の肩に触れる大きな手。

そのまま勢いよく私から引き離すと見覚えのある広い背中が、私を陸人から庇う。

そして私からは見えない陸人に言った。

「悪いけど滝本はもう俺のだから」

見覚えのある広い背中に聞き覚えのある声。

まるでヒーローのように助けてくれたのは織田くんだった。

「……織田、くん?」

震える声で彼の名前を呼ぶと、織田くんは振り返り私を見る。その表情は苦しげで、どこか怒っているようにも見える。

こんな表情をする彼を見るのは初めてで、視線が釘付けになる中、織田くんは優しく私の手を包みむように握りしめた。

そして再び、突然現れた織田くんに茫然と立ち尽くす陸人に、鋭い視線を向けた。

「行こう」

「え、あっ……!」

そう言うと彼は私の腕を引き歩き出した。
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