焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「店の前で滝本と志賀が一緒にいるのを見かけて、咄嗟に近くに隠れていたんだ。ふたりの話を邪魔しちゃいけないと思いながらも、気になってしかたなくて……」

そうだったんだ。

彼は私の腕を撫でたまま続ける。

「だけどあいつの身勝手な言い分に怒りがこみ上げて……我慢できなかった。ごめん、話の途中で連れ出したりして」

力なく言うと彼の手が離れていき、寂しさを感じてしまう。

不思議。さっき、陸人に腕を掴まれた時は怖かったのに、織田くんにはそんな感情抱かない。
むしろもっと触れていてほしいと願っている。

それにこうして久しぶりに会うことができて、連れ出してくれて嬉しく思っている。

「謝らないで。織田くんが助けてくれて私、すごく嬉しかった。……それに陸人に腕を掴まれて怖かったから。本当にありがとう」

感謝の気持ちを伝えると、織田くんは目を見開いた後、ふわりと笑った。

「そっか……。迷惑だと思っていたからそれを聞いて安心した。それよりも大丈夫か? 怖い思いをしていたなんて……悪かった、もっと早く助ければよかったな」

「ううん、そんなことないよ」

落ち込む彼に慌てて声を掛ける。
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