焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「もしかして……滝本?」

「――え? どうして私の名前を……?」

そこまで言いかけてハッとする。そういえば先ほど自己紹介をしたばかりだと。

でも『もしかして』ってどういう意味だろうか? 自衛官の知り合いなんていないけど、顔見知りとか?

しかし思い当たる人物が浮かばず、先ほどの自己紹介を聞いていなかった私は彼の名前も知らない。

どうしたものかと、なにも言えずにいると彼はパッと表情を明るくさせた。

「やっぱり滝本だよな? 滝本杏! 久しぶり、元気だったか?」

今度はフルネームで言われ、真っ白い歯を覗かせて言われても本当に心当たりがないから困る。

「えっと……」

非情に聞きにくいけれど、ここは意を決して『どちらさまでしょうか?』と聞こうとすると、先に彼が自ら名乗ってくれた。

「俺だよ、高校が一緒だった織田(おだ)蒼(あおい)」

織田蒼って……。その名前には覚えがある。

「嘘、あの織田くん!?」

思わず大きな声で尋ねた私に、彼は顔をクシャッとさせて頷いた。

「その織田くん。久しぶりだな、会うのは。高校を卒業して以来か?」

「……うん」
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