焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
でも駆け寄ってきて私の服装を上から下まで見ると、進むスピードは緩み私の前に来ると気まずそうな顔を見せた。

「えっと……おはよう」

「うん、おはよう」

お互い挨拶を交わしたものの、直視できない。

するとすれ違う人たちの話し声が聞こえてきた。

「見て見て、あのカップル。ペアルックじゃない?」

「本当だ。さり気なくしていて可愛いね」

その話がモロに耳に入り、非常に居たたまれない。

「あー……電車の時間もあるし、さっそく行こうか」

「う、うん」

改札口へ向かおうとすると、彼はそっと手を差し出した。

「えっ?」

ワケがわからず、差し出された手と織田くんを交互に見ると彼は笑う。

「俺たち、恋人同士だろ? だから今日は一日これ」

そう言うと彼はギュッと私の手を握りしめた。それだけで幸せな気持ちになる。

「早く行こう」

「……うん」

天気も良くて、朝から幸せな気持ちになれて、今日は楽しい一日になりそう。

笑顔で手を取り合い改札口を抜けていった。
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