焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
もしかしてここ、有名な夕陽の絶景スポットとかなのかな? 地平線上に沈んでいく夕陽は息を呑むほど美しいから。

しばし視線を奪われ、夕陽が沈んでいく様を織田くんとふたり肩を並べて眺める。

そして夕陽が半分ほど沈みかけた時、彼は私の方へ身体を向けた。

「今日、どうしても海を見に滝本と来たかったんだ」

「どうして?」

私もまた彼と向き合うように身体の向きを変えた。すると織田くんはその理由を話してくれた。

「以前に言っていただろ? 志賀との思い出である海が、嫌いになったって」

そうだった。織田くんにも話したんだよね。陸人と始まりと終わりの場所である海が、嫌いになっちゃったって。

「うん。……でも今は嫌いじゃないよ」

だって織田くんがいつも写真を送ってくれたから。会えない日々の中で、何度も眺めているうちに嫌悪感を抱かなくなった。

「その証拠に今、目の前の景色が本当に綺麗で感動しちゃっているから」

もう一度海に目を向けると、海の水面は赤みかかったオレンジ色が一面に広がっていた。
< 161 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop