焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「そっか。……じゃあもう、志賀との嫌な思い出はすべて忘れてくれないか?」

「えっ?」

再び彼を見ると、真剣な面持ちで私を見据えていた。

「今日からは、俺との思い出に変えてほしい」

「織田くん……」

すると彼は、私の両手を握りしめてふわりと笑う。

「もう一度、俺の気持ちを伝えさせてくれる?」

少しだけ小首を傾げて尋ねてきた織田くんが可愛くて、胸が苦しくなる。

声にならなくて何度も首を縦に振ると、彼は私の瞳を捕らえたまま言葉を紡いでいく。

「婚活パーティーで滝本に再会できた時、神様に昔諦めた恋をもう一度頑張れって背中を押されている気がして、無我夢中だった。きっとこのチャンスを逃したら、もう二度と滝本に会えない気がしたんだ」

そう言うと織田くんは、私の両手を握る力を強めた。

「あの日は強引だったよな? ごめん。……初めてデートした時も、付き合ってもいないのにキスして悪かった」

「……ううん、そんなことないよ」
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