焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
たしか冷蔵庫の中にそれなりの食材はあったはず。それに家でならゆっくり話ができるし。

そんな思いで言ったものの、織田くんは複雑そうな表情。

「あっ……やっぱりやめようか?」

よく考えれば、付き合った次の日に家に誘うべきじゃないよね。ただ一緒にいたい一心で言ってしまったことをすぐに後悔する。
だけど織田くんは「じゃあ、お邪魔してもいい?」と言った。

「滝本の手料理食べられるなんて嬉しいよ」

「……本当? 嫌じゃない?」

だってさっき、微妙な顔をしたよね? 信じられなくて聞いたものの、彼は首を縦に振る。

「嫌じゃないよ。……ただ、思いがけず滝本の家に行くんだって思ったら、少し緊張して……」

ハニかみながら照れ臭そうに話す織田くんの姿に、胸を握られたように苦しくなる。

「なに作ってくれるの?」

「えっ……あっ、どうしようかな。織田くん、なにか食べたいものある?」

手を繋いだまま私の家へと向かっていく。

「そうだな……じゃあ滝本の得意料理が食べたい」
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