焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
食べたいものを聞くと、なんとも難しいリクエストが返ってきた。

私の得意料理……得意料理ってなんだろう。

それなりに料理はできるけれど、なんせ振る舞う相手がみどりや、年に数回里帰りする実家の両親しかいない。それに材料は限られているし、絶対に失敗しないものがいいよね?

「えっと……シチューでもいいかな?」

ふと、寒くなってきたから今度の休みに作って食べようと、シチューの材料を買い揃えていたことを思い出し言ったものの、初手料理がシチューって手抜き過ぎたかも。

心配になるも、織田くんはシチューと聞いて嬉しそうに顔を綻ばせた。

「いいね、シチュー。寒くなってきたし、食べたいと思っていたんだ」

また気持ちがシンクロして、思わず笑ってしまった。

「え、笑うところか?」

笑い出した私を不思議そうに見る織田くんに、私も同じことを思っていてこの週末に食べようと思っていたことを伝えると、彼もまた笑った。

「えっと、散らかっているけど……」

鍵を開けて入り、彼を自宅に招き入れる。

「お邪魔します」
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