焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
その後、まだ帰ってほしくなくてふたり分の珈琲を淹れてソファに並んで座り、バラエティー番組を見てふたりで笑い合う。

こうして何気ない時間を一緒に過ごせることが、当たり前じゃないんだと思うとますます帰ってほしくなくなる。

刻々と時間だけが過ぎていく中、とうとう見ていたバラエティー番組も終わってしまった。お互いのマグカップも空になっている。

朝からずっと隣にいて、今日が本当に楽しい一日だったから終わりが見えてくると寂しい。

でも織田くん、明日も仕事だし私だって明日は朝一で営業会議がある。だから早く休むべきだとわかっているけれど……。

「悪い、すっかり長居しちゃって。俺、そろそろ帰るから」

「あ、うん」

ソファから立ち上がり、玄関へと向かう彼の後を追う。だけど大きな背中を視界が捕らえた瞬間、帰ってほしくない想いが強くなり、咄嗟に彼の服を掴んでしまった。

「……滝本?」

当然彼は立ち止まり、不思議そうに私を見つめてくる。その視線から逃れるように視線を落とした。
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