焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
彼が口にした志賀陸人(りくと)は、私がずっと付き合っていた彼の名前。そして今もずっとトラウマと化して心に残っている人。

「うん、大学三年生の時に色々あって……」

言葉を濁しながらも説明をすると、織田くんは目を丸くさせて「そっか」と呟いた。

大丈夫かな。今の私、ちゃんと普通にできている? 悲しい顔をしていない?

せっかく再会できたのに、陸人の話をされると言葉が続かなくなる。もっと話したいこと、聞きたいことが山ほどあったはずなのに。

間を持たせるようにウーロン茶を飲んでいると、再び織田くんは私の様子を窺いながら聞いてきた。

「どうして別れたか、聞いてもいい?」

「えっ?」

すると織田くんは眉尻を下げた。

「ほら、滝本たちはみんなが羨むほど仲が良かったからさ。それなのに、どうして別れたのか気になって……」

そうだよね、普通は気になるよね。それにたしか陸人と織田くんは教室でよく一緒にいたほど、仲が良かったし。

陸人とは高校を卒業後、連絡を取っていないのかな。でも私に聞くってことは知らなかったってことだよね?
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