焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
鋭い目で聞かれ、敬語になる。

「うん、よろしい」

深く頷き言うと、みどりは残っていたビールを一気に飲み干し、お惣菜のパックに蓋をし始めた。

「みどり、どうしたの?」

不可解な行動に首を傾げてしまう。

「どうしたって、もちろん場所を変えるの」

「場所を変える?」

聞き返すとみどりは手を止めて、真剣な面持ちで私を見る。

「そんな話を聞いて、織田さんがいない今、杏をひとりにさせられるわけないでしょ? しばらく家に泊まって。だから早く荷物まとめておいで」

「え、でも……」

そんな迷惑じゃないの?

戸惑う私にみどりは強い口調で言う。

「言っておくけど、全然迷惑じゃないからね? むしろひとりにさせていたら、私が心配でしかたないの。わかったら、さっさと荷物をまとめる!」

「はい!」

人差し指を立てて力説され、急いで立ち上がり寝室へ向かった。

ドアを閉めてキャリーバッグを出し、着替えを詰め込みながら頬が緩む。みどりの気持ちが嬉しいから。

不安でいっぱいだったけど、みどりに相談してよかった。本当に心強い味方だよ。
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