焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
会社前にいたのは、スマホをいじって待つスーツ姿の陸人だった。

嘘、どうして私の勤め先を知っているの? 陸人とは就職が決まる前に別れたし、知らないはず。誰かから聞いたの?
それにしたって突然来るなんて……。

サッと血の気が引く。

気づいてよかった。気づかず鉢合わせしていたら私……!

怖くなり自分の二の腕をギュッと握る。

もう一度、バレないように彼の姿を確認する。

うちの会社に知り合いがいるとかじゃないよね? 陸人が待っているのは、私で間違いないんだよね?

いったいいつから待っていたのだろうか。会社から出ていく社員、ひとりひとりチェックしていたの?

考えれば考えるほど怖くなり、玄関から急いで離れてエレベーターホールへ急ぐ。
そしてすぐにエレベーターに乗り込んだ。

「どうしよう……これじゃ帰れない」

エレベーターから降りて、トボトボと向かう先はオフィス。

みどりに迎えに来てもらう? いや、でもこれ以上みどりを巻き込みたくない。かと言って警察に連絡するわけにもいかないよね。
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