焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「滝本?」

なにも言わない私に再度声を掛けてきた門脇部長。

「あの、実は……」

そんな彼に私は藁にも縋る思いですべて打ち明けた。



誰もいないオフィスでひとり、門脇部長が戻ってくるのを待つ。時計の秒針の進む音が異様に響く中、震える手を握りしめた。

事情を説明すると彼は、「俺がもう一度外を見て来るから、お前はオフィスで待ってろ」と言われた。

まだいるか、見て来るだけさからって言っていたけれど……。

何度もドアの方を見てしまう。少しすると彼が戻ってきた。

「あっ……どうでしたか?」

思わず椅子から立ち上がる。すると門脇部長は厳しい表情を崩さぬまま言った。

「多分まだいる。髪は短めで、紺色のスーツを着て俺より身長が低い奴だよな?」

「……はい」

やっぱりまだ陸人、外にいるんだ。

「滝本、お前……前、相談してきた男とは付き合っているのか?」

「あ、はい」

そうだった、門脇部長にも相談に乗ってもらっておきながら、織田くんとうまくいったことを伝えていない。
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