焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
でも上司と部下の関係でしかないのに、その後の結果報告をするのもどうかと思い、なかなかできずにいた。

「相手に連絡は? このこと、知っているのか?」

最もなことを聞かれ、言葉に詰まる。

「えっと……彼は海上自衛官でして。元カレとのことがある前に航海に出て、今は連絡も取れない状況なんです。いつ戻ってくるかもわからなくて……」

「そうか」

そう言うと、顎に手を当ててなにやら考え始めた門脇部長。少しすると彼は真っ直ぐ私を見据えた。

「よし、滝本。帰るぞ」

「え、帰るって……」

すると門脇部長は、自分のデスク周りを片づけ始めた。

「あの、どういうことですか?」

すかさず彼に詰め寄る。

立って外には陸人がいたんだよね? それなのに帰るだなんて。

そんな私を門脇部長は、落ち着かせるように言った。

「なにも正面切って帰るとは言っていないだろ? 第一、あぁいう類は変に刺激しない方がいい」

「じゃあどうやって帰るんですか?」

聞いた私に、彼はバッグを手にニッコリ微笑んだ。
< 196 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop