焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
門脇部長は私のことを考えてここを通してくれたんでしょ? だったらなにも詮索などしてしてはいけない。ただ……。

「あの、ですが大丈夫ですか?」

「ん? なにが?」

陸人がいないか、気にしながら私の隣を歩く彼に問う。

「もしかして門脇部長、まずいところから鍵を拝借したとかじゃないですよね? あとでお咎めがあったりしませんか?」

私のせいで門脇部長の立場が悪くなってしまったら、どうしたらいいか……。申し訳なくて彼に顔向けできなくなるよ。

心配で聞いたものの、門脇部長は私を見て目をパチクリさせた後、「ブッ」と噴き出した。

「まずいところって……! おまっ、どんだけ発想が豊かなんだよ」

口元を押さえて必死に声を押し殺しながら言う彼に、カッと顔が熱くなる。

「だ、だって普通はそう思うじゃないですか!」

それなのにこんなに笑うなんてあんまりだ。

「そうか、俺を心配してか。……クククッそれは悪かった。でも安心しろ。お咎めなどないから」

「……それならいいですけど」
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