焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
もちろん陸人の姿はないけれど、やっぱりまだ不安は拭えきれない。今日だけは門脇部長にとことん甘えてしまおう。

私も改札口を抜けて、ホームへと向かっていく。

「ありがとうございます。……遠回りですよね?」

電車に揺られながら聞くと彼は「気にするな」と言う。

「今のうちに友達に連絡しておけ。帰ってくるまで一緒に待っていてやるから」

咄嗟に「そこまでしていただかなくても、大丈夫です」と言いそうになり、必死に飲み込んだ。

きっと門脇部長はみどりが帰ってくるまで、私と待つつもりなんだよね?

「……はい」

素直に返事をしてみどりにメッセージを送ると、すぐに【急いで帰る!】の返信が届いた。

「すぐに帰ってきてくれるようです」

「そうか、それはよかった」

電車を降りて門脇部長と肩を並べて、みどりのマンションへと向かっていく。

「滝本、ひとつ提案なんだが」

「はい、なんでしょうか?」

「本社勤務の際、帰りは俺と一緒に帰ろう」

「――え」

そんなっ……! そこまで門脇部長にしてもらうわけにはいかない。
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