焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「やだ、もう杏ってば。送ってくれたのがあんなイケメン上司なら、ちゃんと前もって言ってよ。私、汗だくで帰ってきちゃったじゃない」

「ごめんね、仕事中だったよね?」

家の中に入り、一息ついたものの、仕事中にもかかわらず帰ってきてくれたみどりには申し訳なく思う。

「いやいや、そこじゃないよ謝るのは。イケメンにメイク崩れた顔を晒すはめになったことを謝ってほしいの」

けれどそこはみどりらしい返しに自然と笑みが漏れる。

「うん……ごめん」

彼女が淹れてくれた珈琲を飲む。するとみどりは神妙な面持ちで聞いてきた。

「ねぇ、杏……。覚えてる? 羽山(はやま)くんのこと」

「羽山くんってたしか、大学時代、いつも陸人と一緒にいた……?」

「そう」

覚えている。私は陸人とは学部が違くて、キャンパスで会うたびに陸人は同じ学部の羽山くんと一緒にいたから。

私も少しずつ話すようになって、よくみんなと一緒にご飯食べに行ったり、遊びに行っていた。
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