焦れ恋ロマンス～エリートな彼の一途な独占欲
「いいよ、私からよろしくってちゃんと伝えておくから。……杏、疲れた顔をしてる。志賀の話をするのもつらいでしょ？　ここは私に任せて」

どうやらみどりには、なにもかもお見通しのようだ。

「ごめんね、ありがとう。羽山くんにもよろしくお願いしますって伝えて」

「わかったよ」

そう言うと彼女は寝室へと消えていった。きっと私に陸人の話を聞かせないためだろう。

みどりの気遣いに感謝しながら、私もスマホを手に持つ。

織田くんにあまり心配かけたくない。でも……。

矛盾する想いを抱えながら打ち込んだメッセージ文は【帰ってきたら、相談したいことがあるの】だった。

やっぱり全部は話せない。織田くんは今きっと大変な仕事をしているのだから。戻ってきてくれたらすべてを話そう。

打ち込んだメッセージ文を送信しても、やっぱり送ったメッセージ文すべてに既読が付かない。まだ彼は海の上なんだ。

そう思うと打ち明けなくてよかったかも。

少し経つと電話を終えたみどりが戻ってきて、羽山くんから陸人にさり気なく連絡を取り、会って話をしてみると言っていたと聞き、ホッと胸を撫で下ろす。
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