焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「羽山くんに申し訳ないな。……私が会ってハッキリ言った方がいいのかな」

ふとそんなことを口にすると、みどりは目くじらを立てた。

「そんなわけないでしょ!? 絶対杏は会ったらだめ。一度言ってもダメだったんだもの。こういうのは第三者に任せておけばいいの」

「う、ん……」

みどりの言う通りだと思うけど、複雑な思いだった。だって陸人は、昔はこんなことをする人ではなかったから。

浮気をされて振られて、再会したらこんなことになって。……それでもやっぱり私の中で彼は初めて好きになった人で、初めての彼氏。

良い思い出もたくさんあるから、あまり大事にせず解決したい。そう願わずにはいられなかった。


次の日から朝、会社の最寄り駅で門脇部長と待ち合わせをし、ふたりで出勤する日々が続いた。

お互い外での仕事もあり、なるべく彼は私のスケジュールに合わせてくれて、本社勤務の際は常に裏口を通ってみどりのマンションまで送り届けてくれる。

日中も用心して、外に出る際は裏口を利用させてもらっている。
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