焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「私の話はこれでおしまい! 今度は織田くんの話を聞かせてよ。仕事はやっぱり大変?」

なんとなく気まずさを感じて今度はこっちから尋ねると、織田くんは少しだけ目を細めた。

「俺の仕事はさ、ほとんど海の上だろ? だから友達とは疎遠になるばかりで、家族とも連絡がなかなかとれない時もあるんだ」

「……そっか」

今までなんとなくしか知らなかった海上自衛隊の仕事。今日、少しだけ知ることができたけれど、実際はもっと大変なことがたくさんあるんだと思う。

一年の半分以上は海の上だってさっきの自衛官も言っていたし。

相槌を打ちながら、彼の話に耳を傾けた。

「会いたい人にはなかなか会えないし、目を見て話しをすることもままならない。……この仕事に就いて改めて思い知らされたんだ。伝えたいことは伝えたいと思ったその時に言わないとだめだって」

そう言うと織田くんはグラスを持つ手を強め、真剣な面持ちで私を見つめた。

真っ直ぐな澄んだ瞳に射貫かれ、胸がトクンとなる。

「ずっと後悔していたんだ。……高校生の時、滝本に好きだと伝えずにいたことを」

「――え」

思いがけない彼の告白に言葉を失う。
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