焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
マンションにたどり着き、ふと自分の部屋の窓を見るものの、明かりは灯っていない。
まだ織田くんは来ていないようだ。

ちょっぴり残念に思いながらその分、ご飯を作って待つことができると頭を切り替える。

いっぱい手料理を振る舞いたくて作る品数多くなっちゃったし、急いで作っちゃわないと。

自宅前に着き、バッグの中にあるキーケースを探す。そしてそれを使って鍵を開けた瞬間、近づいてくる足音。

「えっ……?」

振り返るより早く背中を強く押され、家の中に押し込まれた。

「きゃっ……」

バランスを崩し、真っ暗な玄関先で転倒してしまう。スーパーで買った食材が近くに散らばる音を聞きながら痛みに耐え、顔を上げると暗闇にうっすら見える人の影。

「だ、誰……?」

恐怖心で声を震わせながら放つと、その影はゆっくりと近づいてきた。

そのスピードに合わせて見えてきたのは……陸人だった。

「陸人……?」
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