焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「織田くん、大丈夫……?」

「……あぁ、大丈夫」

大丈夫と言うけれど、包丁を持つ彼の手は少し震えていて、見ているこっちがドキドキしてしまう。

起きた時間が遅く、朝食と昼食を兼ねて近くのカフェにランチへ出かけた。その後、また私の家でゆっくり過ごし、夕食はふたりで作ろうってことになったんだけど……。

にんじんを切る彼は真剣そのもの。ゆっくりだけど丁寧に切っていく。そして切り終わるとあからさまにホッとした顔を見せた。

「滝本、どうだろう。こんな感じでいいか?」

「うん、上出来」

グーサインを出すと、織田くんは嬉しそうに笑う。

夕食のメニューは肉じゃがと焼き魚。そして胡瓜の漬け物に味噌汁を作る予定。一品一品、時間をかけて織田くんに教えながらふたりで作っていく。

「いただきます」

「いただきます」

テーブルに完成した料理を並べ、ふたりで手を合わせる。

そして料理を口に運ぶと、美味しくできていて顔を見合わせ笑い合う。

「美味いな」

「うん、美味しくできてよかった」
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