焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「いや、お前の有休けっこう溜まっていたしな。むしろもう少し休んでもよかったくらいだ。……大丈夫なのか?」

心配してくれる門脇部長に、嬉しさがこみ上げる。

「はい、大丈夫です。ご心配おかけしてしまい、すみませんでした」

「大丈夫ならいいんだが……。無理するなよ」

「……はい」

私は幸せ者だよね。こうして心配して助けてくれる人が周りにたくさんいるのだから。

だからこそ、早く忘れなきゃ。――そう、思っていても簡単に記憶は消えてくれなかった。

仕事をしていて外に出る際、玄関を通ると陸人が待っていたことを思い出し、みどりと楽しく過ごしていても、ふとした瞬間に記憶が蘇る。

それでも織田くんが毎日電話をしてくれて、外出許可が下りた時は少しの時間でも会いに来てくれた。

少し、少しずつだけれど怖い記憶が消えてきた頃。みどりの家で彼女の帰りを待ちながら料理を作っていると、織田くんから電話が入った。

そこで聞かされたのは、来週からまたしばらく航海勤務に入ることだった。

「そっか、大変だね」
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