焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
それと同時に思ったの。蒼は、私の辛くて嫌な記憶を新しく良いものに上書きしてくれた。私も蒼のように彼の記憶を上書きしたいと。

四泊五日、ふたりっきりで楽しく過ごして忘れられない思い出に変えたいと。
「ねぇ、みどり。この水着はどうかな?」

いいなと思ったのは、ネイビーのレースがあしらわれたキャミソールタイプの上下セット。下もふわりとした短パンタイプになっている。

「いいんじゃない? 杏に似合うと思う」

「本当? じゃあこれにしようかな」

あまり派手なのは好きじゃないし、これなら肌の露出も少ないし。

みどりにも太鼓判をもらい購入すると、彼女は私の腕を掴んだ。

「よし、本命のお店行こうか」

「え、本命って?」

今日、みどりに付き合ってほしいと言ったのは水着だけなんだけど。

首を傾げる私に彼女は顔を近づけ、耳元でコソッと言った。

「もう、新婚旅行なんだよ? 下着も新調しないとでしょ」

「下っ……! なに言ってるのよ!」

思わず大きな声を上げて抗議する私に、みどりはニマニマ笑う。
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