焦れ恋ロマンス～エリートな彼の一途な独占欲
ギョッとする私に彼は目を吊り上げた。

「滝本、お前っ……！　独身貴族仲間じゃなかったのか!?」

「……はい？」

突然意味不明なことを言われ、相手が上司と言うこともを忘れて刺々しい声が出る。

「次々と同僚たちが結婚していく中、お前だけは仲間だと思っていたのに酷いじゃないか！」

まったく話の筋が見えず深いため息が漏れた。

「門脇部長、なにを言っているのかわからないので、とりあえず一度落ち着いていただけませんか？　よろしかったら淹れますけど飲みます？」

「飲む」

即答した彼に苦笑いしながら「わかりました」と伝え、給湯室へと向かう。

門脇部長はいったいなにを言っているのだろうか……。

彼は入社当時から本社に配属されたエリートで、つい最近、若干三十歳にして部長に昇進したばかり。

私たち商品部社員の教育をはじめ、その仕事は多岐に渡っている。私も門脇部長に鍛えられたひとりだ。

上司としては尊敬しているし、彼のようになりたいと憧れを抱いてもいる。……だけどひとつだけ嫌いなところがある。
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