焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
それは彼が『誰にも本気にならない男』ってところ。かっこよく言えば“プレイボーイ”。悪く言えば“ただの遊び人”

来るもの拒まず去るもの追わずがモットーな人だ。さっき門脇部長が言っていた言葉じゃないけれど、まさに“独身貴族”だと思う。

その名の通り、彼はいい男だ。仕事はデキるし気遣いもできて、なによりカッコいい。

門脇部長になら、遊ばれてもいい!なんて言う女性社員までいるほど。私だったらそんな人、絶対ごめんだ。

珈琲をふたり分淹れてオフィスへ戻ると、門脇部長は電話中だった。

邪魔にならないよう、そっと彼のデスクに珈琲を置き、自分のデスクに座ってホッと一息つく。

そしてパソコンを起動させると、電話を終えた彼が珈琲カップ片手にこちらにやって来た。

「滝本、珈琲ありがとうな」

「いいえ、自分の分を淹れるついでだったので。……それで、先ほどのはどういうことですか?」

パソコンから彼へ視線を移すと、門脇部長はどうやら電話をして忘れていたのはハッとし、慌てて空いている私の隣に腰掛けた。
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