焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
それなのに門脇部長は普通に……いや、普通よりも大きい声のボリュームで言った。

「さっきひとりで休憩中に午後のワイドショーの特集コーナーで、お前が映っていたからだよ」

そういえばあの時、テレビの取材が入っていた。あんなにたくさんの人が参加していたし、私なんてほとんど映らないだろうと高を括っていたけれど……。
そうはいかなかったようだ。

「滝本は俺と同じく、独身を貫く仲間だと思っていたのに酷い裏切りだ。相手はエリート自衛官らしいじゃないか。どうやってゲットしたんだ? 仕事しか能がないと思っていたのにびっくりだ」

感慨深そうに話す彼に顔が引きつる。

「門脇部長……? さり気なく私をディスってますよね?」

仕事しか能がないとか、大変失礼な話じゃない?

ジロリと睨むと、彼はニッと笑った。

「本当のことだろ? 恋愛にまったく興味なかったじゃないか。それなのに、婚活パーティーに参加するなんて、どういう風の吹き回し?」

頬杖をつき、私の様子を窺う門脇部長に変な汗が流れそうになる。
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