焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
知った時はショックで悲しかったけれど、それでも私は彼のことを嫌いになれず、彼も私と同じ気持ちなら関係を続けていきたいと思っていた。

でもその願いは叶わなかった。

浮気発覚を機に、彼との関係はギクシャクし始めた。元の関係に戻りたい一心で、告白してくれた思い出のビーチに出掛けた日、同じ場所で私は振られてしまったんだ。

初めて好きになった人で、初めて付き合った人で……。なにもかも初めてを経験した人だった。

結婚まで夢見ていた私はとにかくショックで毎日が辛かった。だから就職してから、ただがむしゃらに働き、そのおかげか最年少バイヤーとなり、今は失恋の傷は癒えた。……癒えたけど、恋愛をしたいとは思えない。

そして嬉しくて悲しい思い出の詰まった海も嫌いになった。

「国家公務員の彼をゲットして、尚且つ海嫌いも直しちゃいなよ。……記憶は新しい記憶で塗りかえていかないと」

みどりの言う通りだと思う。いくらもう彼のことは引きずっていないと言っても、今でも思い出せば胸が痛む。
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