焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
辛い記憶はなかなか消えてくれない。それこそ新しい記憶で塗りかえないと、一生消えないのかも。
とは思うものの、いきなり婚活パーティーに参加は無理。

「みどりの気持ちは嬉しいけど……」

やんわり断ろうとしたけれど、みどりは私の声を遮った。

「ねぇねぇ、申し込むだけ申し込んでみようよ。海上自衛隊主催の婚活パーティーって、すごく人気で調べたら当選倍率は十倍なんだって」

「十倍?」

これにはさすがにびっくりして目を丸くさせてしまう。するとみどりは畳み掛けてきた。

「そうなの。だからダメ元で申し込んでみようよ。当たらない確率の方が高いしさ。当たったら神様がいい加減、新しい恋をしなさいっていうお導きだと思えばいいでしょ?」

「そんなムチャな……」

顔を引きつらせる私にみどりは、バッグに中からボールペンを取り出し、テーブルの上にあるハガキにペンを滑らせた。

「ムチャでもしなきゃ、杏は一生独り身になっちゃうでしょ? それが私は心配なの! いいから応募だけしてみる!!」

「あっ、ちょっとみどり!?」

あろうことかみどりは、私名義でハガキに参加に必要事項を書き始めた。
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