焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「滝本はこっち」

ショッピングモールを後にして、夕方の人通りの多い歩道を歩いていると、そう言って彼は私に歩道側を歩かせる。

そして時折走り去っていく自転車がいると、私を守るように歩いてくれる。

こういう何気ない気遣いに胸をキュンとさせられる。なんていうか、守られているって気持ちになっちゃうから。

それに織田くん、毎日鍛えているのかな。服の上からでもわかるほど身体がガッチリしているから余計にそう感じてしまう。

隣を歩いているだけで胸が苦しくて、心臓の音が聞かれそうで怖い。

なにか話さないと、バレちゃいそう……!

必死に頭をフル回転させて彼に話し掛けた。

「織田くんはやっぱり、あの……! 毎日トレーニングしているの?」

「なに、突然?」

「ちょっと気になって……」

いきなりすぎたかな。でも織田くんの身体のことを考えていたら、それしか思いつかなかったし。

いや、身体のことを考えていたらって、ちょっと私なに言ってるの!? これじゃ変態みたいじゃない!!
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