焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
街灯の明かりが灯りはじめた中を、織田くんは奥へと歩を進めていく。

すると見えてきたのは住宅街の奥に広がる広い海と、少しずつ沈みかけている綺麗な夕陽だった。

「うわぁ、すごい……」

息を呑むほど美しい景色に声が漏れる。

水面は夕陽に染まって赤くなっているところがあり、絶妙なコントラストはまるで絵画のよう。

しばし視線を奪われていると、隣に立つ織田くんがポツリと呟いた。

「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ」

「えっ?」

景色から織田くんに目を向けると、彼は握っていた手の力を強めた。

「だから滝本にも見せることができて嬉しい」

ふわりと笑う彼に胸を鷲掴みにされたように痛くなる。

やだな、そんなこと言われたら照れちゃうよ。……でも、それと同時に嬉しいと思っている自分もいて、ニヤけそうになる。

「ごめん、ちょっと写真撮ってもいいかな?」

「うん」

そう言うと織田くんは繋いでいた手を離してスマホを取り出し、綺麗な景色を写真に収めていく。

その姿を見ながらなぜか寂しさを覚える。
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