焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
手を繋がれた時はいっぱいいっぱいになっていたのに、いざ離れると寂しく思うなんて――。

矛盾する想いに悩まされながらも、真剣な表情で写真に収める織田くんの姿に、何度か送ってもらった海の写真を思い出した。

「織田くんって写真が好きなの? 何度も海の写真を送ってくれたよね?」

ふと気になって尋ねると、彼は写真を撮るのを止めて申し訳なさそうに私を見た。

「悪い……迷惑だったか?」

「ううん、違うの。送ってもらえて嬉しかったよ?」

あまりに織田くんは申し訳なさそうにしているものだから、慌てて言葉を並べた。

「私、海に良い思い出がなかったんだけど、織田くんから送られてくる写真を見るたびにいつも癒されていたの。……それと、また海に行きたいなって思えた」

「良い思い出がないって……もしかして志賀と?」

勘の鋭い彼にギクリと身体が反応する。

織田くんに気にしてほしくなくて、いらないことまで言ってしまったことに今さらながら気づく。
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