焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
「こういうのは誰かの後押しが必要なのよ。その役目を杏の恋愛事情を知っている私が請け負わないとね」

なんて独自の理論を展開しながら、みどりは私の整理を押し切り、必要事項を書き終えた。

「これは私が自分の分と一緒にしっかりポストに投函しておくね。ふたりとも当たればいいんだけど……。数週間後には当選結果が届くはずだから、ちゃんと私に当落を連絡すること!」

満面の笑みで言うみどりに、私はひたすら苦笑いしながら「はい」と返事をするしかできなかった。

だけど、まぁ……当選確率は十倍の狭き門らしいし、そう簡単に当たるわけがないよね。きっとふたりとも外れて、みどりが悔しがる光景が浮かぶ。

その後、注文した料理が次々と運ばれてきて、まずは乾杯をし仕事の話を中心に盛り上がった。



そして、約一ヵ月半後――。

私は普段はあまり着ることのない淡い色合いのシフォンワンピースを着て、神奈川県横須賀市に来ていた。

「まさか当選しちゃうなんて……」

海風に吹かれながら、途方に暮れてしまう。
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