焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
再び電車に揺られながら、手帳で今後のスケジュールを確認する。

嫌になるほど予定でギッチリ。でもひとつひとつしっかりこなしていかないと。

手帳を閉じて次にバッグから取り出したのはスマホ。

画像ホルダをタップして、織田くんから送られてきた画像に目を通す。その中には、この前、初めてふたりで出掛けた時に見た住宅街の奥に広がる夕陽に照らされた海の写真もあった。

「綺麗……」

振動音が響く車内でかき消されていく声。

この日、織田くんと一日一緒に過ごしたのが今では夢のよう。それというのも、あの日からもう一ヵ月半が過ぎていた。

季節もそろそろ次の季節へと変わろうとしている。

婚活パーティーで再会してから、まだ一度しか会えていない。……本当、織田くんの言う通り、これだけ会えないと会った時に後悔しないようにしたいと思える。

一日一緒に過ごした日の帰り道、彼は家の前まで送ってくれた。そしてまたしばらく海に出ることを聞かされたんだ。
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