焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
でも今度戻ってきたら、しばらく陸地勤務になるって言っていたし、休みが合えば少しは会える時間があるのかな?

本社の最寄り駅に到着し、改札口を抜けて今度はバスに揺られていく。

この一ヵ月半で彼から送られてきたメッセージはたった二通のみ。それは私のことを気遣う内容だった。

仕事はどうか、疲れていないか、なにか困ったことはないか。私のことばかり。そして海の写真が添付されている。

ずっと恋愛は同じ時間を共に過ごして、相手のことを知っていき好きになるのだと思っていた。陸人の時がそうだったから。

クラスメイトとしてなにかと一緒に過ごす時間が多くて、話して彼のことを知って色々な表情を見て……そして好きになった。

恋愛ってそういうものだと思っていたけれど……形は様々なのかもしれない。

現に私は、会えない分、織田くんへの想いを募らせているから。

「会いたい……な」

バスを降りて本社へ歩いて向かっている途中、漏れた声。

「――え」

思わず足を止めて驚愕。

だって私、今、なんて言った!? 『会いたい』って言ったよね!?
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