焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
電話の着信音にドキッとなる。

織田くんから一度も電話がかかってきたことはないけれど、毎回夜、電話が鳴るたびに期待している。
もしかしたら織田くんかもしれないと。

急いでスマホを取りに行き確認すると、電話の相手はみどりだった。

みどりには申し訳ないけれど、ちょっぴり残念に思いながら電話に出る。するとすぐに電話越しから元気な声が届いた。

『久しぶり、杏。元気にしてた?』

「久しぶりってつい三日前に電話で話したばかりじゃない」

呆れながら言うと彼女は『そうでした』とおどけてみせる。

「どうしたの? こんな遅い時間に」

キッチンへ向かいながら尋ねると、みどりは要件を話した。

『もしかしたら織田さんから聞いているかもしれないけど、杏は二週間後のサマーフェスタに行くの?』

「サマーフェスタ? なにそれ」

珈琲を淹れる手を止めて聞き返す。

『あ、聞いてなかった? 海上自衛隊基地主催のお祭りみたいなものだって。普段見ることができない護衛艦とかがたくさん公開されて、内部も見られるらしいよ。それに音楽隊の演奏や出店もあるみたいなの』

「へぇ、そんなものがあるんだ」
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