僕に君の愛のカケラをください
その後、生ビールが来ると、お互いに好きなメニューを注文する。

葉月は和食が好きだと言って、ホッケや揚げ出し豆腐、刺身などを注文した。

生ビールで乾杯のためにグラスを合わせると,二人とも一気に半分ぐらい飲み干した。

「で、悩みはなんだ?真面目な葉月が仕事を後回しにするくらいだから何か大変なことなんだろう?」

蒼真の言葉に、葉月はバツが悪そうな顔をした。

「私以外の人には大したことない、ことだと思いますけど,,,」

「構わない。上司としては状況を把握しておくことが大事だ」

蒼真がそういうと、葉月は諦めたようにため息をついた。

"何でもいい。君の視界に入っていたい"

葉月がグラスを持つ仕草、食べ物を口に運ぶ様子やため息まで、今だけは自分が独占できる。

蒼真は言い知れぬ満足感に戸惑いながら、葉月の言葉を待っていた。
< 10 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop