僕に君の愛のカケラをください
同居の条件
「俺のマンションの一部屋を貸してもいい」

思わず口をついて出ていた。

「え、、、っ?それってどういう意味、、、ですか?」

葉月が驚くのも無理はない。蒼真は自分でも内心驚いているのだから。

「いや、俺のマンションはペット可なんだ。防音もしっかりしているし、個人所有だから動物を飼っている人も多い」

「それで、部屋を貸すってどういう、、、」

怪訝な目をして眉間にシワを寄せる葉月。

「そのまんまの意味だ。俺は子犬の面倒はみれない。だが葉月がきちんと面倒をみるなら、部屋を貸すことはできる」

よくよく考えなくてもこれは同居の提案だ。

いくら子犬のためとはいえ、知り合って2ヶ月ほどの上司と同居なんてできるはずがない。

蒼真はとんでもないことを言い出した自分に呆れながらも、葉月の言葉を待つことにした。

「、、、。夜間、休日はお部屋を間借りさせていただくとして、後は仕事中が問題ですね」

慈愛に満ちた葉月は、か弱い動物のためなら自己犠牲も問わないのか、意外にも蒼真との同居に前向きな返答をしてきた。

「それは、社長の靖晃にも相談してみよう。幸い、K&Sには動物アレルギーの申告をしているスタッフはいない。靖晃は"育児支援に前向きな職場のモデルにしたい"とか言ってたから、"ペットを同伴した出勤を可能にした職場"なんて斬新で飛びつくんじゃないか」

K&Sの社長は金丸靖晃(かねまるやすあき)29歳。蒼真と一緒に会社を立ち上げ、資本金を準備した人物だ。

常に進化を求める新しい物好き。

女性の社会進出にも理解がある。それならば大切な家族であるペットにも理解を示してくれるだろうか?
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