僕に君の愛のカケラをください
「蒼真さん、なんかすみません。子犬だけじゃなくて私までお世話になることになってしまって,,,。」

本当にいいのだろうか?

とはいえ、葉月は切羽つまっている。新しいペット可のマンションが見つかるまで、蒼真の好意に甘えてしまうしかない。

"社内の女子社員は恋愛対象外"

葉月は、K&Sの女性スタッフが言っていた言葉を思い出していた。

蒼真は上司として善意で言ってくれているに違いない。

葉月は、蒼真の善意を信じることにして、今はジロウの命を優先することにした。

そうと決まれば準備するものがたくさんある。

「蒼真さん、今何時ですか?」

「あ?20時だけど?」

子犬を育てるには環境を整える必要がある。葉月はグラスに残ったビールを飲み干すと、バッグを持ち立ち上がった。

そして徐に蒼真の腕を掴んで歩き出した。

「ちょっ、どうしたんだ、急に」

「付き合って下さい」

「ぐっ,,,!」

握られた手が熱く感じる。

蒼真が葉月に付き合わされたその先は,,,。

,,,ホームセンターだった。
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