僕に君の愛のカケラをください
「蒼真さん、なんとお礼を言っていいかわかりません。早々にペット可の物件を探して出ていきますから、それまでの間よろしくお願いいたします」

蒼真のマンションに着くと、二人は買い込んだペット用品を部屋に運び込んだ。

蒼真の所有するマンションは3LDK。

一部屋は蒼真の寝室。来客用の部屋とは別に、物置として使っている部屋が一部屋ある。

引っ越して来たのは3年前。その時と変わらず、開けもしない段ボールが数箱積まれただけの部屋だ。

独り暮らしなのに何故3LDKにしたのかと聞かれても、靖晃に勧められたからとしか答えられない。

「あの、今さらですけど、蒼真さんの彼女さんとか、怒ったりしませんかね?」

「そんなのが居たら君にこんな申し出をするわけないだろう」

蒼真は、さっきまでの勢いをなくした葉月を見て苦笑した。

「ですよね,,,。安心しました。あ、お世話になっている間、家賃と光熱費を支払わせていただきますから」

物置となっている部屋に置いてあった数個の段ボールを整理しながら、葉月がハッキリとした口調で言った。

「いや、短期間のことだし、家賃も光熱費もいらない。ただ、俺が仕事で遅くなりそうな時には食事を作っていてもらってもいいかな?いつもコンビニで済ませることが多いから」

「そんなことでいいんですか?お安いご用です」

葉月は笑顔でガッツポーズをした。

「それでは、明日からよろしくお願いいたします。できるだけご迷惑をお掛けしないようにこっそりと生活しますから」

そう言って、部屋の片付けを終えた葉月は自宅へと帰って行った。

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