僕に君の愛のカケラをください
「うわっ、思っていたよりもちっちゃいな」

「かわいい!」

保健所から戻ると、靖晃をはじめとしたスタッフ全員がジロウを迎えてくれた。

まだ目も空かず、耳も聞こえないジロウは嗅覚だけが頼りだ。

葉月が段ボールに手を入れると、鼻をピクピクさせて擦り寄ってきた。

「本当に葉月ちゃんのことを認識してるんだね」

靖晃は感心したように言った。

葉月はそっとジロウを抱き寄せると、哺乳瓶の乳首を口に含ませた。

しばらくはモゴモゴしていたが、なんとか飲んでくれたので皆安堵する。

「いやー、これは癒しになるな。ジロウの成長と共にわが社も成長していこう」

靖晃の言葉に

"おう!"

と全員でガッツポーズをする。

葉月は本当に良い会社に就職できたことを心から感謝した。
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