僕に君の愛のカケラをください
副社長の席からは、スタッフのデスクがすべて見渡せるようになっている。

4人ずつが向かい合って座るデスクの島の奥に、透明な壁で仕切られた防音の個室が5室並んでいる。

普段は集中して作業をしたいスタッフが、副社長に許可をもらってその部屋を使用することが可能だ。

個室とはいっても、全面が透明な仕切りを使用しているので副社長やフロアから中は丸見えだ。

例えるなら、ショッピングモールや空港などにある、中の見える喫煙室のような感じだ。

今日は、その一室に葉月がいる。

黙々とパソコン作業をしながら、時折、段ボールの中に顔を向けてはすぐに画面に向き直る。

13時にミルクを与えた後、個室に移動すると、葉月は子犬の肛門を刺激して便を出す介助をしていた。

次のミルクは15時から17時の間だろう。

"寝ていることとミルクを飲むこと、排泄が仕事"

と葉月が言った言葉通り、

ジロウは、ほとんどの時間を睡眠に費やしていて今のところ周りに迷惑はかけていなかった。




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