僕に君の愛のカケラをください
午後21時。

他社とのチャット会議を終えた蒼真は、マンションに真っ直ぐ向かい、エレベーターを降りると玄関の鍵を開けた。

さっき、蒼真は葉月にメッセージアプリで

"今から帰る"

とメッセージを送っていた。

ドアを開けると、美味しそうな匂いが空腹感を刺激した

「おかえりなさい」

満面の笑みで玄関まで駆け出してきた葉月に、蒼真の胸がギュッと熱くなった。

誰もが当たり前に持っていて、しかし、蒼真には決して手に入れることができなかった家庭の温もり。

くしくも、蒼真と同じような境遇のジロウが運んできてくれた幸運。

「、、、ただいま」

その言葉を口にしたとき、蒼真はなんだか泣きそうになるのを必死の作り笑顔でごまかした。



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