僕に君の愛のカケラをください
「蒼真さん、いつもこんな時間まで仕事してるんですか?体壊さないか心配になります」

部屋着にエプロン姿の葉月は、旦那の帰りを待つ若奥様みたいだ。

「ジロウはさっきミルクを飲んでまた寝ました。後二時間は起きないと思いますよ」

まるで子育て中の夫婦のような会話。

蒼真にとって、最も縁遠いと思われていた現状に頭と心がついていかない。

リビングのテーブルに暖かい料理が並んでいるのが見えた。

「今夜はゆとりがあったのでハンバーグにしてみました。味を気に入ってくれるといいのですが」

てへっ、と笑う葉月が自分のことを本当に愛してくれているのではないかと勘違いしそうになる。

「朝御飯もおいしかった。とても楽しみだ」

蒼真は、たとえ限られた短い期間であっても、この奇妙な同居生活を楽しんでしまおうと決め、心に巣食う不安を隅に追いやることにした。
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