僕に君の愛のカケラをください
元カノ
ショッピングセンターに着くと、葉月は先日のホームセンターの時と同様に、迷いなく目的の物をカートに詰め込んでいった。

洗濯や掃除、台所用品をはじめ、調味料に至るまで、蒼真の家に不足しているもの(それでも一人暮らしでは別に必要ではなかったもの)をどんどんカートにいれた。

カートを押す蒼真はまるで、週末のお買い物に付き合わされた旦那のように"借りてきた猫"状態だ。

「ごめんなさい、蒼真さん。二時間しかないと思ったら気が急いちゃって」

一旦、日用品を車に入れ、二人は今、食料品売り場にいる。

「いや、普段はのんびりしているのに、目的があると、葉月はとたんにアクティブになるんだな」

と、蒼真は笑った。

「そうですね。正確さよりもスピードを重視してしまうかもしれません。気を付けます」

唐揚げ用の鶏肉を選んでいるときに、二人がそんな会話をしていると、

「あらっ、蒼真じゃない?」

と、8cmのパンプスを履いたスレンダーな美人が声をかけてきた。

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